保護者体験談「現地校と日本人学校の徹底比較」

 《西大和学園平日校 VS 現地校

投稿者 西大和学園カリフォルニア校 在籍生徒保護者

    在LA日系企業社長 英検1級保持者

 私の息子は、幼稚園年中から小学校4年生1学期まで西大和学園カリフォルニア校(NAC)に就学後,2年間South Bayの公立Elementary Schoolに通学し、本年(2015年)6月に5年生を卒業いたしました。その後は近接のIntermediate Schoolに進学するのが通常ですが、思う所があり6年生の1学期の途中からNACに編入(復学)させて頂きました。このまま無事にいけば、NAC小学部を卒業する運びとなります。日米の学制の違いというか“ずれ”により、小学校を2度卒業する事になります。NAC→現地校→NACというのは前例がないらしく、その経験をお話しすることで、現地校(+補習校)か全日制日本人学校(NAC)かで迷われているご父兄の参考になれば幸いです。

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英語を話すこと自体が素晴しいのではない

 現地校に行けば英語が話せるようになるか、と問われれば、話すようにはなると答えます。初めの半年位はお地蔵さん状態でも、そこから先ポツリポツリと級友達と話しだす。そして徐々に発音がアメリカ語らしくなり、”Gimme tha(t) ball, dummy!” などと言いながら遊び始めます。微笑ましい。しかし、少なくとも息子の場合、2年間授業中に内容の濃い発言を分単位でした事はなかったと思います。

そして、 多彩な髪と目の色をした少年少女達と”Gimme,”と言い合えるようになる代償が、子供の将来を考える親として実に憂うべき<算数力の低下>です。息子は文章題を除けばMathは100点でした。NACで4年間鍛えられましたから。でも本人はちっとも嬉しくない。問題が呆れる程簡単だから。子供とはいえ10才にもなれば自尊心というものが芽生えてくるのですね。 息子が通ったElementary Schoolは校長をはじめとした先生方、級友達そしてそのご父兄、皆さん素晴らしい方々でした。彼らの責任ではなく、構造的な問題なのです。あのまま息子がIntermediateに進んだ場合、日本の水準からすれば算数力の著しく劣った、アメリカの水準からすればDouble Limited(英語も日本語も中途半端)な生徒になっていく事は想像に難くない。それが前述の<思う所があり6年生の1学期の途中からNACに編入させた>理由です。現地校の級友達は良いのです。米国は高校までが義務教育ですから、小学校では分数の足し算ができればOK。つまり、日本に比べて米国の学制はだら~と伸びているように思います。七五三の千歳飴のように。

 英語は彼らの母(国)語ですから、切実さが息子とは違います。それ(英語)しかないのです。濃度が違います。彼らの内の数人、いや親御さん達もご立派でしたから殆どの子供達は、高校を出る頃には立派な英語が書けるようになるでしょう。では我々(アメリカに永住、或は数年を過ごす)の子供達はどうでしょう?英語ができるようになることそれ自体には意味がないと私は思うのです。日本語の読み書きがきちんとできた上で英語もできるから、国際化が謳われる昨今の状況下で多くの機会に恵まれ得るのではないでしょうか。そもそも国際人というのは、国と国との際(きわ)を相対化(外国語はその為の手段であって目的ではない)できる人なのですから。

P1000827母語が薄まっていく

 息子の能力の問題もあるかもしれません。もっと早く現地校に溶け込み、クラスメートを凌ぐ英語力を発揮される利発で適応力のあるお子さんもいらっしゃるでしょう。しかし、その場合起きるのが<母語の断絶>です。胎内に居る頃から両親が話しかけて来た母語が断絶する。親にとってこんなに悲しくて切ない事はありません。私は実に沢山の方からその嘆きを聞いてきました。

 (現地校に行くのは)どちらに転んでも不幸、みたいな暗い話になってしまい恐縮です。明るい話があるとすれば、高校くらいから現地校に進んだお子さんの例でしょうか。彼はこちらの高校を卒業されて、東京の国立大学を普通受験で入学/卒業され、現在は日本の優良企業に就職されているそうです。お父様と同じく元々優秀な方だったのでしょうが、大学受験の際に3年間アメリカの高校で習得した英語が役に立った筈です。また、Gimme tha(t) ballが言えるようになる為なら、野球やサッカーなどのTeam Sportに参加するのがお勧めです。息子のクラスメート達もそうでしたが、アメリカ人の良さが出るのは、Team Sportであるような気がします。フェアプレイ精神旺盛で、屈託なく明るい。

コストパフォーマンス

 確かに現地公立校の授業料は無料です。しかしこれは、授業料は税金で(より正確には州の予算で)賄われている、と言うべきで、ご承知の通りCalifornia州の財政難の悪影響は公教育において顕著です。先ず現地校の場合、毎週月曜日はミニマムディと称して午前中で授業は終わり。それ以外にも、頻繁にミニマムディがある。火~金は3時まで。担任の先生もフルに5日は働かず、アシスタントが授業をする事が多々ある。1クラスは35人。宿題は出るが、一々中味を吟味する時間はなく、何か書いてあればほぼOkayのスタンプが貰える。

 教科書はなく、プリントが授業の主役。先生が任意に選ぶ項目のつまみ食いです。体系的に(単元毎に順を追って)何かを学ぶということがない。英語の場合、3か月前までクロスワードパズルで三単現のSみたいな事をやっていたのに、ふと気がつくと、仮定法過去完了のIfを省略して倒置のような、英文法としては最も難しい部類のReadingをやっている。

 実は現地校はただではないということです。子供がお昼に帰ってくる日が平均して5日の内1.2日ある。共稼ぎ家庭なら、それだけで大変。そして3か月近い夏休みが、これに加わる。サマースクールが一大産業になるのも頷けます。日本人家庭の場合、やはり日本語が心配(前述の母語の断絶に焦る)なので、土曜日に補習校へ通う費用がかかる。

 一方のNACは、六年生ともなれば、週4日は夕方5時20分までみっちりと授業がある。土日くらいは子供を休ませてあげようと思う程、たっぷりと勉強します。夏休みは45日しかなく、そのうち最後の1週間は補習授業がある。私の実感として、NACと現地校の授業時間の比は恐らく1対0.6位です。これに多人数クラスである事(先生が生徒に割く時間)を加味したら、半分は確実に割ります。<効果>を云々する以前に、実はコスト自体が巷間言われているように、現地校は安上がりというわけではないのです。

 そもそも子供の教育は「取り返しのつかない」問題であって、費用対効果を云々すべきものではない、という真っ当な意見があります。NACで息子が小学一年生だった時の担任の先生は、漢字の止め/はね/払いに非常に厳しい方でした。この先生に限らず現在の担任の先生も、非常に美しい字を書かれる。通信簿の先生の所見欄のすぐ下に、返事を書くのが躊躇われる程です。息子は英語の筆記体が綺麗だと現地校の先生(もちろんアメリカ人)に褒め頂きました。英語にもDiscipline(躾)という言葉はあります。別に息子の心がけが格別に良いわけではなく、字はなるべく綺麗に書くべきだという事が、7歳でNACの先生の指導を受けた息子の心のどこかにあるからでしょう。子供は親の背中だけではなく、師(特に初等教育における)のそれも見て育つのだと思います。

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NACの英語への新しい取り組み

 

 息子が現地校に通っていたこの2年間で、NACのカリキュラムが変わり、家庭科/音楽/美術の授業が英語で行われるようになりました。勿論英語の授業も3分の1近くはあり、上記の「NACと現地校の授業時間の比は1対0.6位」と考え合わせると、実は教室で英語に触れている時間は、NACと現地校で変わらないか、ひょっとするとNACの方が多い!のです。

 息子は現地校に行っている間に英検2級の1次試験に落ちています。NACに復学してから1次、2次とも合格しました。現在NACでは英検という授業が週1時間あり(息子の指導者はネイティブのELD教員、2次試験の直前に受けた授業で先生と練習したトピックが面接でほぼそのまま出たそうです。息子と同い年の知り合いのお子さん(幼稚園からずっと現地校)は、息子と同じタイミングで2級に合格し、面接試験は同じように緊張したそうです。つまり、NACと現地校で英語力にさしたる差はでないのです。

 それなら何故貴方は自分の息子を現地校に行かせたのか、現地校も経験させたかったからでしょう、というご意見もあるかと思います。仰る通りです。経験させたかった。でも今思うのは、それは5年後で良かったなということです。その頃には数学力も日本語力も揺るぎのないものになっているでしょうし、英語も最後のBrush Upができるでしょう。(スラングを覚えるのが関の山かもしれませんが)それと、転校を繰り返すのはあまり勧めできません。特に日本で中高の受験をお考えの場合。短期間に学校を変わるのは、学校生活への適合を疑われるような気がします。私共の場合は受験を意識したわけではありませんが、Elementaryを卒業するのを待って、NACに復学いたしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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